私の履歴書53   寺社詣で(靖国神社)

靖国神社は私にとっては格別の神社である。「同期の桜」という歌がある。


二. 貴様と俺とは同期の桜   同じ潜校の枝に咲く

咲いた花なら散るのは覚悟 見事散りましょう国のため

三. 貴様と俺とは同期の桜   離ればなれに散ろうとも

花の都の靖国神社     春のこずえに咲いて逢おう


もしも終戦がもう少し遅くなっていたら、私も間違いなくこの社に祀られることになっていたと思う。特攻隊を志願し、特殊潜航艇の艇長講習員として、小豆島で訓練を受けていたが、その最中、我々の同僚3名を含む9名が洋上で訓練中に敵機の襲撃を受け戦死し、私たちも四国南岸に出撃する予定になっていたので、出撃すれば到底生還は期し得なかった。


幸い私の家族では父は早く亡くなっており、私たち5人兄弟は私が最年長だったため、戦死者はなかったが、小学校の同級生、親戚の叔父さんたち、その他多くの知り合いの方々が戦死されている。


春、桜の花が咲く頃になると自然に足が靖国神社のほうに向く。こずえに咲く満開の花びらを見ると万感胸に迫る思いがする。8月15日の終戦記念日、12月8日の開戦記念日などにも出来るだけ参拝している。軍装をして隊伍を整えラッパを吹きながら参拝する旧軍人、傷痍軍人、右翼の団体、老婆等々。それぞれの思いを抱いて参拝していることであろう。


私たちの小豆島の戦友会でも平成11年4月昇殿参拝を行った。式次第の説明のあと、おはらいがあり、君が代の吹奏。厳粛な気分になる。背後からは丁度、「靖国神社の桜の下で「同期の桜」を歌う会」が終了する時刻となり、「同期の桜」のメロデイが流れてきた。感慨無量。本殿に通されると宮司の祝詞奏上。ちゃんと17期会のために綴られた文言が読み上げられる。終わって5名の代表の玉串奉奠にあわせて一同礼拝。約40分の行事。初めての体験だけに身のひきしまる思いがした。昇殿参拝を終えて近くの遊就館を見学する。私たちが乗っていた特殊潜航艇の模型や、先輩の九軍神の遺影も展示されていた。


平成13年の終戦記念日に小泉首相が参拝する、しないでだいぶ議論を呼んだが、結果的には靖国神社への国民の関心が高まったのは事実のようだ。私は例年のとおり参拝したが、今年の人出は格別で満員電車なみの混雑であった。


春のころ終戦開戦記念日に おのずと向かう靖国の宮

靖国神社 (平6.4)
靖国神社 (平6.4)

靖国神社の桜の下で「同期の桜」を歌う会 (平7.4)
靖国神社の桜の下で「同期の桜」を歌う会 (平7.4)

靖国神社の桜と白鳩 (平1.4)
靖国神社の桜と白鳩 (平1.4)

神社参拝の旧軍人 (平2.12)
神社参拝の旧軍人 (平2.12)

昇殿参拝を終え遊就館を見学する戦友 (平11.4)
昇殿参拝を終え遊就館を見学する戦友 (平11.4)

九軍神の遺影 遊就館 (平1.4)
九軍神の遺影 遊就館 (平1.4)



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