資料   「謡舞観巡」 より

    独吟練習講座の開始について (平成元年3月)


 一昨年春、病気のため、毎週木曜日の稽古ができなくなり、児玉先生に代わってもらておりましたが、おかげさまで元気になりました。このほど、幹事長さんから話があり、来たる4月から、太田先生の定年退職に伴い、金曜日昼休みのお稽古を受け持つこととなりました。

 どのような稽古の方法にしたらよいか考えてみましたが、本年の初会の席上で、次回から4名程度順番に独吟を謡うこととなりましたので、独吟練習のお役に少しでもたてるならと思い、次の要領

で4月からの金曜日の昼休みは「独吟練習の時間」にしたいと思います。ふるってご参加下さい。


1. 日   時  従来どおり 毎週金曜日 1200より1250頃まで

2. 場   所  KDDビル地下、第二レク室

3. テキスト   この稽古では、わんやから発行されている「宝生流独吟集」上下巻から、私が数曲を選んで、毎月一回テキストを作成し、事前に会員の方にお届けします。4月分と5月分を参考までに送付しますが、6月以降の分については皆さんのご希望をききながら、作成したいと思います。携帯に便利なように小型にしてみましたが、これも皆さんの希望で大きくしても結構です。

4. テ ー プ  テキストにのせた分については、わんや書店編集、筑摩書房発売の「宝生流声の名曲集」からテープを作成し、稽古の時間中に一回はこのテープを聴いてもらい、希望者はこれからテープを複製できるようにしたいと思っています。テープをお預かりして私が複製しても結構です。

5. テキストの更新  テキストは稽古の回数や有無にかかわらず、月単位で更新し、事前にお届けしますので、何を稽古しているかすぐ分かります。

6. テキストとテープのみの利用  都合で稽古に出られない方も、独吟の暗記用にこのテキストとテープを利用してもらえれば幸いです。


       平成元年3月             高橋 春雄

    会員のみなさま





        は じ め に (「謡舞観巡」旧版)

                    (平成7年3月)

 

 昭和29年、勤務先KDDの先輩秋元亮一さんにすすめられて、村本脩三さんについて謡曲を習いはじめてから早くも40年余りが過ぎ去りました。


 いつの間にか古希の年を迎えてしまいましたが、振り返ってみると謡曲のおかげで、心ゆたかな半生を過ごすことができました。特に会社を定年退職してから今日までの10年ほどは、謡曲とパソコンとクルマが私の生きがいとなってしまいました。


 謡曲のほうは、KDD宝生会、渡邊三郎先生の渡雲会、教授嘱託会とだんだん間口が広くなってきましたが、これらの会の諸行事には都合のつくかぎり出席してまいりました。参加すればなにか役を割り当てられます。人前で謡ったり舞ったりするためには、少しは予習や暗記もしなければなりませんが、これも参加することに意義ありと、あまり大げさに考えずボケ防止と睡眠促進に役立つくらいの軽い気持ちで取り組んでいます。謡曲は自分で演るのも楽しいものですが、観るのも楽しいものです。プロの方はもちろん、素人の方の謡、仕舞、舞囃子、能でも素晴しいのを拝聴、拝見したときは、なんとも言えない感銘を受けます。


 定年になってから始めたクルマの運転は謡蹟めぐりに大いに役に立っています。関東甲信越は私の手頃のドライブ圏です。秩父札所、坂東札所を一巡したので、現在はもっぱら謡蹟めぐりに精を出しています。青木実さんの「謡蹟めぐり」や木本誠二さんの「謡曲ゆかりの古蹟大成」などを頼りにあちこち走り廻っております。遠いところは戦友会、クラス会、謡会、兄弟会等あらゆる会合の機会をとらえ、途中下車、1、2泊追加等してあちこちと訪ねています。京都、奈良、鎌倉等、謡蹟の宝庫では貸自転車を利用することもあります。


 パソコンも定年になってから習いはじめました。実に重宝なもので、なにかを書くのが全然苦にならなくなるから不思議です。平成元年、喘息で入院したため、しばらく休んでいた会社謡曲サークルの指導を再開した際、とりあげた曲に関する解説、思い出、謡蹟等思いつくままをパソコンで書いて差し上げることとしました。5年を経過してみるとその間に取り上げた曲は100曲を超え、書き留めた資料もかなりの分量になりました。


 昨年4月、一般向けの曲では選曲が困難となったのと、5年間に書き留めた資料を見直す意味で、練習曲目を新たに五十音順に取り上げることとし、作成する資料の大きさもB5版とし、写真も添えることとしました。1年を経過した現在で調べたところ、取り上げた曲の数は24曲、ページ数も164ページとなっておりました。資料整理の意味でとりあえず1冊にまとめてみました。タイトルも「謡を謡い、仕舞・舞囃子・能を舞い、能を観賞し、謡蹟などを巡った思い出」という意味で「謡舞観巡」とし、副題を「謡曲の自分史」としてみました。


 一介のサラリーマンでも、このような定年退職後の過ごし方、楽しみ方があるという意味で参考にしていただければ幸いです。気力と体力と経済力の続くかぎり続作成に取り組んでまいりたいと思っております。皆様のアドバイスをお願いします。

    
     平成7年3月                    高 橋 春 雄



       は じ め に (「謡舞観巡」改訂版)

                    (平成12年6月)


 昭和29年、KDD宝生会発足の時、秋元亮一さんにすすめられ、村本脩三さんについて謡を習い始めてから46年、昭和39年渡雲会に入門、渡邊三郎先生に師事してから数えても36年が経過しました。


 また昭和54年3月、教授嘱託の免状を頂戴してからは、教授嘱託会にも入会しこの会の諸行事に参加する一方、KDD宝生会において昭和56年1月から会員の稽古のお手伝いを始めました。そして稽古の時には、その曲の理解に少しでも参考になればと自分なりの資料を作って差し上げてまいりました。20年近くの間に作った資料もかなりの量になっております。


 平成6年4月から、比較的馴染み深い曲を五十音順に取り上げてきましたが、その数も「葵上」から始まって「羅生門」まで128曲となり一巡しました。今後も引続き資料作りを続けたいと思いますが、差し向き次の要領で進めてみます。

 ・ 取り上げる曲目は五十音順とし全180曲を対象とする。

 ・ 曲目以外でも謡曲に関係あるものは取り上げる。

 ・ 各曲目について、前回以後訪ねた謡蹟などを追加する。

 ・ 写真も文中に配置することとし、カラーコピーとする。

 ・ 今までの資料も読み直し、削除、存続、追記等を検討する。

 ・ 標題は前回と同様「謡舞観巡」(謡曲の自分史)とするが、頁は更新する。


 振り返ってみると、20年近くの間に作った資料もかなりの分量になりました。「謡舞観巡」だけでも1,214頁に達しました。病気に悩まされながらもよく続けてきたものと思います。次の稽古日までに何かを書かなければという思いが、持続の原動力になったものと思います。


 そして書き進めるうちに、謡曲に関するあらゆるものに関心を持つようになりました。古典に興味を持つことによって新しい世界が開けたような気もしますし、数多くの謡蹟を訪ねることによって謡曲の味わいも一層深くなったように思います。そしてその思いの何分の一かを書き綴ってまいりました。これから一層磨きをかけて行きたいと念じています。


 しかし、なんとか今日までこの作業を続けられたのも、このお稽古があったればこそで、お付き合いいただいた多くの方々に感謝しております。今後ともご協力、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。


                            高 橋 春 雄

 


             あ と が き (ブログにも掲載)

                  (平成19年8月)

 

 昨年10月29日、「謡蹟めぐり 葵上」として、初めてブログに投稿してから、1年近くが過ぎ去り、このほどようやく、宝生流謡曲の180曲分全部を投稿し終えることが出来、感慨無量でございます。


 途中、旅行に出かけたり、病気をしたりで休んだ日もありますが、それ以外は毎日の日課としてパソコンに向かってまいりました。ホームページとかブログは私にとって初めてのことなので、分からないことばかりです。写真の大きさとか品質、文字の種類や表の取り入れなど、もう少し勉強すればと思いながらさぼっておりますし、コメントやトラックバックをいただいた方にもなんの連絡もせず失礼しております。


 23 年前、勤めていた会社を定年で退職してから、パソコンを習い始め大変重宝なもので資料作りや本作りに活用してきました。ホームページにも興味があり、一時講習を受けたこともあるのですが、私にはなかなか難しく自分のものを作成するまでに至りませんでした。ところがその後、プログなるものが出てきて、簡単に出来、しかも無料で出来ると言って長女が、ライブドアのブログサービスを使って私のためにブログを開設してくれました。


 何か試しにやって見たいと思い、かねて作成中の謡曲の自分史「謡舞観巡」の中から、謡蹟めぐりの部分だけを取り出して投稿してみることにしました。写真を取り込むのに若干品質を落とすための操作が必要なだけで、さほど難しいこともないのでなんとか続けることが出来ました。写真を沢山取り入れるので容量のほうも心配でしたが、2.1ギガというのは凄い容量ですね。180曲分の文章を書き、およそ2,600枚の写真を入れたのです、入力したものをA4の用紙にプリントしてみたら、かなり細かい字で、しかも写真は小さくなっているのですが、およそ760ページもありました。どれだけの容量を使ったのか調べてみると使ったのは831メガ、許容容量の39パーセントしか使っておりません。これだけのものを使わせていただき、無料とはライブドアーのサービスに感謝するほかありません。


 そのライブドアーからは毎日のようにこのブログを訪問した数をメールで送ってくれております。当然のことながら最初は殆どなかったのですが、12月 8、1月 142、2月 191、3月 194、4月 202、5月 300、6月 471、7月 487と、順次訪問者の数も増えてもう2,000人以上の方が私のブログを見て下さったのです。(追記 平成20年1月末現在で5.600人を越えております)


 また、グーグルの検索で「謡蹟めぐり」と入力すると、1,130件のうち、一番最初に私のものが出て来たのには驚きました。(追記 平成20年2月1日現在では,972件のうち、一番最初が私のものを長男がホームページ形式に直してくれた「謡蹟めぐり」、二番目がこのブログ形式の「謡蹟めぐり」となっています)。また私のブログ名「harusan1925」と入力すると345件も出てきました。さまざまのホームページやブログに私のものが引用されているのです。ちなみに「harusan」は私の愛称、「1925」は産まれた西暦の年、大正14年のことでございます。

 

 これだけ多くの方の目に触れていると思うと何か恐ろしいような気もしますが、また嬉しくもあります。これまでクラス会、戦友会、謡の会のいろいろ記念誌などを作ってきましたが、配付する数は限られております。それに比べブログは短い期間にこれほど多くの方に見てもらっており、しかも費用はパソコンに入力するだけで何もかかっておりません。多くの方々が利用するのもよく理解出来ました。


 「謡蹟めぐり」が一段落しましたので、何かもう一つ挑戦してみたくなりました。そしてその時はもう少し勉強してもう少しましなブログにしたいと願っております。(追記 平成20年2月  その後19年12月に「特殊潜航艇「蛟竜」(海軍の自分史)」を公開、現在「私の履歴書」を作成中です。)


 最後に「謡蹟めぐり作成にあたり参考にした書籍」、「私の謡年表」、「投稿したブログの目次」を参考までに掲げておきます。



・「謡蹟めぐり作成にあたり参考にした書籍」

木本誠二著 謡曲の古蹟大成 全5巻 昭和58年9月発行 中山書店

青木 実著 謡蹟めぐり 全6巻 昭和63年6月 初版発行 檜書店

小倉正久著 謡曲紀行 全2巻 平成15年5月 第一刷発行 白竜社

村田寛夫著 千年前の名所旧跡 全2巻 平成7年9月 第一刷発行 近代文芸社

中村京三著 謡曲史跡駒札 写真百番集 平成5年5月発行 謡曲史跡保存会

京都新聞社編 能百番を歩く 平成2年3月 第一刷発行 京都新聞社

村井康彦著 京都史跡見学 平成2年4月 第14刷発行 岩波書店 ジュニア新書

佐藤和彦・錦昭江編 鎌倉歴史散歩 平成5年3月 初版発行 河出書房新社

岩田アキラ著 能のふるさと散歩 全2巻 平成18年3月 第1刷発行 NHK出版

昭文社 各県の都市地図

その他 謡曲関係図書 多数あるも省略


 

       平成19年8月15日 終戦の日

                       

                         高 橋 春 雄

謡舞観巡 180曲分 9冊 別冊 3冊 謡曲名所めぐり実録 2冊
謡舞観巡 180曲分 9冊 別冊 3冊 謡曲名所めぐり実録 2冊



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私の履歴書

「日々是好日」 −高橋春雄・私の履歴書−