1面上段
いきいきライフを求めて
見たり聞いたり試したり
長寿社会になって長生きするようになったのは有り難いが、植物人間になったり、毎日テレビと対面の生活ではつまらない。
歳をとっても毎日をいきいきと送りたいのが万人の願い。
ことぶき大学の学習の一環として、十名程度の少人数の班に分け、地域の新聞を作ることとなった。編集会議でメインテーマを何にするか話し合った結果「いきいきライフ」を取りあげることとした。
新井、江古田、上高田の私たちが住む地域にも、いきいき老人も大勢いるだろうし、それを支援する施設や団体も沢山あるはず。
編集委員十名が手分けして、イキイキ老人を見つけだして話を聞く、そのような施設や団体を調べる。必要あれば参加してみる。
こんなことを申し合わせて動き出した。
以下はそのリポートである。 (高橋春雄)
1面 何かに参加してみよう
中野区では、介護予防事業として、松が丘高齢者福祉センター(松が丘シニアプラザ)とみずの塔ふれあいの家で、次の様にいろいろな行事を行っています。気軽に一度のぞいてみてはいかがですか。
▼ 松が丘シニアプラザ
前茶道 ハーモニカ 大正琴 マージャン 川柳 混声合唱 歴史研究 カラオケ
朗読 陶芸 気功 パソコン かな文字書道 マジック 日本舞踊 句 体操
ウクレレ フラダンス ダンス 卓球 詩吟 囲碁 写真 絵手紙 水彩画 民謡
さわやか椅子体操 いきいき体操 さわやかクラブ 楽しい折り紙
童謡、唱歌を歌おう 元気でいこう
▼ みずの塔ふれあいの家
お手軽健康体操 童謡をうたおう ふれあい大正琴クラブ みずの塔句会
思ったより沢山のことが行われているのに驚きました。
これらの中でも特にお年寄りの方が多く参加しているのは、お茶、日本舞踊、句、ダンスなどだそうです。
参考までに二つの施設の住所、電話番号を記しておきます。
松が丘シニアプラザ 松が丘1-32-10 電話 5380-5761
みずの塔ふれあいの家 江古田1-9-24 電話 3954-6755 (高橋ふさ)
1面 グループで何かやるなら 江原キャンパス
江原小学校の一部が江原キャンパスとして一般区民に開放されている。
学童の数が減ってきたので空教室を午後四時頃から九時頃まで一般区民の方にも利用してもらおうとして開設されたのがこのキャンパス。
現在、書道、お琴、三味線、中国語などのグループが使っている由である。こうしたグループに入るのも良いけれども、同好の人たちが集まって何かを継続的に実施したいと思っている人は是非一度訪ねてみることをおすすめしたい。 (高橋春雄)
2面 体験記
童謡・唱歌を歌おう
松が丘シニアプラザでは毎月原則として第三木曜日の午前十時から十二時まで若い美人の可知美緒先生指導による「童謡・唱歌を歌う」会が開かれている。
年輩の方が三十名程度集まり、童心にかえってなつかしい歌を元気一杯に歌っている。曲目は帰りがけに集まった方が希望曲を紙に書いておくと、その中から選んで次の会に取りあげてくれる。私も「荒城の月」を希望して取りあげてもらったことがある。私が聞いただけでも「朝」「故郷の廃家」「赤とんぼ」「波浮の港」「トロイカ」「地上の星」「きよしこの夜」など多数にのぼっている。
お腹の底から声を出すのは健康にも良いと思うし、同じ年輩の方々がそれぞれの思いを込めて歌っている姿にはなんとも言えない感動が伴う。先生の声も素晴らしい。
もっと続けたいのだが、ことぶき大学の時間が木曜日なので、ここのところ欠席がちである。 聞けばみずの塔でも同じようなコースがあるらしい。時間の都合がつけば参加したいと思っている。 (高橋春雄)
4面 体験記
楽しい折り紙 松が丘シニアプラザ
毎月第二、第四の木曜日に行われています。
毎回十人前後の人達が集まって季節の花、年中行事例えば正月飾り、鯉のぼり、かぶと、サンタクロース等をおしゃべりをしながら作品を見せ合って楽しんでおります。
先生がいて指導している訳でもありませんが、十年も続けているベテランの先輩がいて、初心者には親切に手ほどきをしてくれています。 (高橋ふさ)
5面 ことぶき大学 江古田地域 初夏の分教場学習
大学院生 研究成果を一冊にまとめ発表
今年度のことぶき大学・大学院の初夏の分教場学習は七月一日・江古田地域センターで約四十名が参加、盛大に開催された。
今回のテーマは「江古田地域をもっと知ろう」。このテーマのもとに、担当の大学院生六名がまとめ、参加者に配付された「江古田散歩」なる本が注目された。内容は江古田地域の史跡・神社仏閣等の紹介が主であるが、巻末には各自が選んだテーマについての一文を添えてある。A5版一五○頁の小冊子(写真−省略)である。これに基づいて六名全員がその研究成果を簡潔に発表していた。(写真−省略)
さらに、中野区立歴史民俗資料館の主査比田井克仁氏による「二百年前の江古田村を想像する」というユニークな講演もあり、資料の文久二年、明治四十三年の江古田村の地図をたどりながら、百年、二百年の昔を思い浮かべている様子であった。
その他、新入生を含めた全員の自己紹介、地域での活動団体の紹介、OB会の入会案内があり、休憩時には新しく参加のAコースの方のリードによる「リズム体操」でくつろぐなど、もっと時間が欲しいという雰囲気の中で秋の会合での再会を約して散会した。 (高橋春雄)
8面 哲学堂にカイダンありますか?
「哲学堂にカイダンありますか」と小学生に問いかけられた時はいささか慌てました。 それはある日のこと、ことぶき大学の院生の仲間と数名で付近の史跡めぐりをしようとあちこち廻り、哲学堂公園まで来た時のことでした。
「哲理門」、「常識門」と二つの門があることを確かめ、広場に出ると「六賢台」、「四聖堂」、「宇宙舘」などの建物が見えます。
「硯塚」を見た後、今度は「筆塚」を見ようと、六賢台のあたりから坂を降りようとしたところで小学生五、六名に取り囲まれました。
「インタビューにご協力下さい」とのこと。聞けばこの近くの小学校三年生の児童たちで、社会科の勉強でここに来て、私たちに白羽の矢を立てたわけです。
「カイダン?」私たちもキョトンとして考え込みました。起伏の多い公園ですからもちろん階段は沢山あります。しかしそんなことは質問にはなりそうもありません。
そのうちに仲間の一人が膝をたたきました。「怪談のことだ!」
「あるとも、あるとも。あの入口の門は妖怪門とも言われて門の一つには幽霊が入っているんだぞ。まだ見ていなかったら是非見たほうがいいぞ・・・
それからこの広場からつつじ園に行く宇宙舘の近くには「幽霊梅」という梅の木もあるはずだよ」
児童たちもどうやら納得した様子でした。
「第二の質問です。哲学堂に私たちにおすすめの良い所がありますか?」
四聖堂の孔子や釈迦、六賢台の聖徳太子、菅原道真と言っても無理だろうし・・・
「硯塚は見たかい?」
「見た」と言う。
「それでは筆塚は?」
「まだです」という。
「それでは私たちも筆塚に行くところだ。一所に行きましょう」
そして、私たちはお孫さんのような小学生と一所に筆塚を仲良く訪ねましたが(写真省略)、何かとてもほのぼのとした気持でした。 (高橋春雄)
8面 シルバーパスのつぶやき
某月某日
大江戸線練馬駅での出来事。
こどもづれの女性がホームに携帯電話を落としてしまった。駅員を呼ぶかと思っていたら彼女は列車停止のボタンを押してしまった。
列車は駅の手前でストップ。このトラブルで電車は十数分遅れてしまった。
止められた電車に乗っている人たちにはどのようにアナウンスされたことかしら。
某月某日
久しぶりに通勤時間の地下鉄に乗った。すし詰めという程ではないが、肩と肩が触れあう程度の混雑。近くの若い女性がかなり大きな鏡を取りだしお化粧を始めた。すぐ近くのもう一人の女性はパンを食べ始めた。扉近くの女性はストローで何か飲み物を飲んでいる。化粧が一段落した女性は今度はマンガ本を取りだして読み始めた。
皆さん朝ご飯を食べる時間を惜しんで仕事に励んでいるのだと感心した。
某月某日
シルバーバスで改札口を通ると駅員はほとんど無言である。たまに「どうぞ」という人もいる。今日は「有難うございます」という声が聞かれた。税金を払っているので、シルバーバスも全然無料という訳でもないから、これでもよいのかなと思った。
某月某日
電車が空いている時はもちろん腰かけるが、混んでいるときはやせ我慢して、腰かけている人の前には立たないことにしている。
それでも私の白い頭を見てわざわざ私の立っている所まで歩いて「どうぞ」と席を譲ってくれる人もいる。心のうちで手をあわせ「有難う」と座らせていただいた。
某月某日
水道橋には宝生能楽堂があるので、能の鑑賞その他で毎月何回かは都営三田線の水道橋駅を利用する。
ホームから改札口まではエスカレーターがあるので助かるが地上に出るには階段を登るしかない。数えてみたら六十九段ある。
若い時は何の苦もなく昇り降りしていたが、この歳になると途中で一息いれないと無理である。
仲間たちも同じように苦労しているようだ。日本の能楽が世界の無形文化資産に指定されたことでもあり、日本の伝統芸術をより多くの人に楽しんでもらうためにも、石原さん、地下鉄水道橋駅にエスカレーターかエレベーターを設置して下さい。 (高橋春雄)
8頁 編 集 後 記
六月十六日の授業で、各班で新聞をまとめ、九月八日までに提出するよう宿題が出された。
私たちの第五班は新井、江古田、上高田の十名。もちろん新聞作りなど誰もやったことはない。
しかも頼りにしていた高野弘之さんが病気がちだったが、とうとう逝去されてしまった。
九人で集まって何をトップ記事にするか議論、夏休み前最後の松田妙子さんの講演の影響もあって、いきいきライフを取りあげることとした。九人の俄か記者がいきいきライフを求めて取材、記事を書いて持ち寄ることとした。
原稿を依頼する人、自分でサークル活動を体験する人、施設を訪問取材する人、インタビューを試みる人、結構皆さんあちこちかけめぐって記事を書いてくれた。
折角書いたのだから全部載せたい。しかも活字は読みやすいように大きくしたい。とうとう八頁になってしまった。自分たちがいきいきライフを体験した夏休みであった。 (高橋春雄)
みどり新聞 第1号 平成17.9.8
「日々是好日」 −高橋春雄・私の履歴書−