長谷寺

謡蹟めぐり  玉葛 たまかづら

ストーリー

旅の僧が奈良の社寺を巡拝の末、初瀬の長谷観音へ参詣に行こうと初瀬川の辺りまで来ると、舟を漕いでやってくる一人の女性がいます。女は、僧と共に長谷寺に参り、有名な二本(ふたもと)の杉へ案内します。そして「源氏物語」の玉葛の話をして聞かせます。幼い玉葛は母夕顔の死後九州を脱出し、この二本の杉で母の侍女の右近と出会い、光源氏に引き取られたと話し、やがて自分こそその玉葛であるとほのめかして消え失せます。
僧が哀れに思って読経していると、玉葛の亡霊が髪を乱した姿で現れます。そして、男たちとの間の恋の迷いのせいか、死後の今も妄執の苦しみから抜け出せない身なのだと打ち明け、乱れた思いに狂い舞いますが、やがて昔のことを懺悔して仏の教えにすがり成仏したとみるや、僧も夢から覚めます。(「宝生の能」平成13年2月号より)

謡蹟 長谷寺 奈良市桜井市    (平5・7記)

平成元年5月、教授嘱託会の「謡曲名所めぐり、大和路の旅」に参加し、「長谷寺」を参詣した。この寺は謡曲関係では、「玉葛」の「二本の杉」、「俊成忠度」や「定家」の「藤原俊成と定家の墓」、「草紙洗」の「紀貫之故郷の梅」等の謡蹟が沢山あり、また、西国第八番の札所でもあり、すぐ隣には札所番外の「法起院」もある。この頃私は札所めぐりもやっていたので、決められた時間内に札所の御朱印を頂いたり、謡蹟を見たりで随分忙しい思いをした記憶がある。
この寺は境内が広く、長い廻廊がつづいており、廻廊の両側は有名な牡丹園になっている。花の見頃は過ぎて、わずか一、二輪名残りをとどめているのみ。最盛期にもう一度訪ねてみたいものである。

長谷寺 長谷寺  桜井市  (平1.5)

二本の杉 二本の杉 長谷寺 (平1.5)


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