女塚1

謡蹟めぐり  女郎花 おみなめし

ストーリー

肥後の国松浦潟の僧が都へ上る途中、石清水八幡宮に参詣しようと立ち寄ると、男山の麓には女郎花が美しく咲き乱れています。土産にと一本手折ろうとした時、一人の老人が現れてそれを止めます。二人は古歌に詳しいことを誉め、花を折るのを許します。そして八幡宮の社前に案内し、更に男塚・女塚を見せ、これは小野頼風夫婦の墓であり、自分が頼風であることをほのめかして消え失せます。
旅僧は土地の人から詳しく頼風夫婦の話を聞き、夜もすがらその菩提を弔っていると、頼風夫婦の霊が現れます。そして、女は夫が足遠になったのを恨んで放生川に身を投げたこと、女の塚に生え出た女郎花が、頼風を避けるのを悲しみ、頼風もまた後を追ったことなど語り、今はともに邪淫の悪鬼に責められている、と僧に成仏を願います。(「宝生の能」平成10年11月号より)

石清水八幡宮付近の謡蹟  (平7.1記)

本曲の舞台は山城国男山となっている。ワキの旅僧は九州松浦方から出て男山八幡宮に詣で、蜀錦を連ねたような女郎花の花を手折ろうとして老翁にとがめられるところから始まる。
  「岩松そばだって山聳え谷廻りて諸木枝を連ねる」と謡われた男山八幡宮も、今はケーブルカーで簡単に登ることができる。
日本三八幡の一つに数えられるとのことで、その絢爛豪華な社殿に驚かされる。山頂からの眺望は素晴らしい。2回ほど訪ねたが、季節の関係で女郎花は見られなかった。今でも秋になると、「花の色はむせる粟の如し」という女郎花が「蜀錦を連ね」るように、男山の麓を埋めつくすのであろうか。あまりに都市化されていて女郎花を見つけるのも困難になっているように思われる。

石清水八幡宮 石清水八幡宮 京都府八幡市八幡町 (昭59.6) 日本三八幡の一つに数えられるとのことで、その絢爛豪華な社殿に驚かされる。

八幡宮からの眺望 男山からの眺望 京都府八幡市八幡町 (昭59.6) 山頂からの眺望は素晴らしいが、都市化されていて女郎花を見つけるのも困難のようだ。

「女塚」は八幡宮からだいぶ離れた「松花堂」という庭園の中にある。最初訪ねた時は観光バスのコースに入っていたので、ゆっくりお詣りすることができた。
謡本には「これなるは男塚、又此方なるは女塚」とあるので、すぐ近くに二つの塚があると思っていたが、実際はかなり離れており、コースに入っていなかったので男塚を訪ねる時間はなかった。2回目に訪ねた時も、教授嘱託会の名所めぐりに参加した時なので、訪ねることは出来なかった。もう一度この八幡宮を訪ねて、男塚(頼風塚)にお参りしたいものと思っている。

女塚1 女塚 京都府八幡市八幡女郎花 松花堂庭園内 (昭59.6)「女塚」は八幡宮からだいぶ離れた「松花堂」という庭園の中にある。

<追記 平13・5>
平成12年8月、ようやく男塚(頼風塚)にお詣りすることが出来た。民家に囲まれて淋しそうだった。女塚にも三度訪ねてみた。松花堂庭園もすっかり整備されており、女塚のところにも駒札が立ち、女郎花の花が咲いていた。

男塚 男塚(頼風塚) 八幡市今田 (平12.8) 民家に囲まれた空き地に淋しそう

女塚2 女塚 松花堂庭園内 (平12.8) 駒札が立ち女郎花が咲いていた


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