白山比盗_社

謡蹟めぐり  歌占 うたうら

ストーリー

伊勢の神職渡会某は、旅の途中急死し、三日目に蘇生しましたが、地獄を見て来た恐怖のために白髪となってしまいます。今は和歌の文辞によって吉凶を判じる歌占となって諸国を廻っていますが、たまたま加賀の白山の麓へやって来た時、一人の里人が親を探して歩いている子供を連れて、見てもらいに来ます。
すると里人のひいた短册からは「尋ね人は重病が快癒して長生きする」と出、子供の幸菊丸がひいた短册からは「既に尋ねる人に逢っている」と出ます。男巫子は不思議を感じ、子供の素姓を尋ねると、それは昔別れた我が子でした。
親子は再会を喜びます。里人は別れに地獄の曲舞を所望します。渡会は、これを謡うと神がかりになるからとためらいますが、頼まれて舞い始めます。果たして正気がなくなりますが、やがて狂乱から覚めて、親子は故郷へと帰って行きます。(「宝生の能」平成12年6月号より)

白山比盗_社・歌占の滝   石川県鶴来町  (平13・1記)

白山比盗_社は霊峰白山を御神体とし、白山比め大神、伊弉册、伊弉冉尊を御祭神とする神社で全国に三千有余もある白山神社の総本宮である。
本曲のツレの里人はこのあたり白山の麓に住まいする者であり、シテの渡会某は事情あってこの近くの住吉神社の傍らに住み、後述の歌占の滝の所に出ては歌占をしていたという。住吉神社は和歌の神で、今は白山比?神社の境内末社荒御前(あらみさき)神社に合祀されているという。
この神社から国道157号線を車で5分ほど走り、国道から100メートルほど入った山裾に歌占の滝がある。往時このあたりを歌占の里と言ったとのこと。この滝の上に前述の住吉神社があり、そこに歌で占う神官がいてこの滝の所に出ては歌占いをしていたという。
滝の近くに大きな歌占の碑が建っている。歌占の碑の由来については傍らの石碑に次のように刻まれている。
『 能楽歌占は流離の父子が再会する目出度い曲である。即ち男巫の小弓に付けた短册を尋ねる父とは知らず子が引いて「うぐひすのかひごの中のほととぎす云々」と図らずも父子の名告りをあげる。次いでこの邂逅を祝って男巫が地獄めぐりの曲舞を深刻痛烈に舞い納めて結ぶ。時はこれ懶き晩春初夏の候、処はまさに神徳灼かな霊峰白山の麓、まことに夢と現つの相交錯する神秘の世界である。会々、白山比め神社二千五十年祭に当って畠山一清翁が上演奉納せられるに及び、年久しく埋もれし因りの滝を江湖に顕揚せられしを記念して、ここに鶴来町が建碑されたものである。
            昭和三十七年十月 芥 唯雄 稿 』

白山比盗_社 白山比盗_社 全国に三千有余もある白山神社の総本宮 石川県鶴来町(平9.6)

荒御前神社 荒御前神社 白山比盗_社の末社で神官のいた住吉神社を合祀する 白山比盗_社境内 (平9.6)

歌占の滝 歌占の滝 本曲の舞台 石川県鶴来町 (平9.6)

歌占碑 歌占の碑 白山比盗_社2500年祭を記念して昭和37年に建立された 石川県鶴来町 (平9.11)

二見の浦 (平13・1記)

ワキの渡会某は伊勢の国二見の神職で、白山の麓歌占の里で我が子にめぐり会い、再び二見の浦に帰る。どの神社の神職かわからぬので二見の浦の名所「夫婦岩」の写真を掲げる。

二見の浦 二見の浦夫婦岩 本曲のシテは二見の浦の神職であった 三重県二見町 (平2.6)


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